アメリカ市場に唇線筆(リップライナー)を展開したいなら、FDA(食品医薬品局)による化粧品の登録・規制を無視できません。FDAの合規手続きに不備があると、輸入差止めや回収リスク、ブランド評価の低下を招き、あなたの事業成長に大きな障壁となります。本記事では、FDAへの成分申告からラベルの適正記載、さらには実務でよくあるリスク回避策まで、包括的にわかりやすく解説します。
米国では化粧品の輸入にあたり、事前の製品登録(いわゆる「製品リスティング」)は義務付けられていません。しかし、成分や製造情報の届け出(FDAのVoluntary Cosmetic Registration Program: VCRP)及び成分の安全性確保が必須です。唇線筆に含まれる成分がFDAにより規制薬物でないか、重金属含有量が法定基準内かを徹底確認する必要があります。
重要な手順:
FDA規則抜粋:
「化粧品の成分は安全でなければならず、ラベルは真実かつ誤解を招かないものでなければならない」(21 CFR Part 701)
FDAは化粧品のラベルに含まれる情報が消費者に誤解を与えないことを重視。特に唇線筆の原材料名はINCI名称で表示しなければなりません。たとえば、「ジメチコン」なら「Dimethicone」と表記するよう精度が求められます。
さらに、使用上の注意(例:「口唇専用」)や保存方法、バッチ番号、生産国は明確に記載し、法的に必要な言語(英語)で表記しましょう。ちなみにFDAは保管期限表示は義務付けていませんが、市場での信頼性向上にプラスです。
| ラベル要素 | 記載内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 成分表 | INCI名称で全成分を明記 | 全成分を配合割合なしに列挙 |
| 使用用途 | リップライナー(唇用) | 誤解防止のため明確に表示 |
| 製造者情報 | 社名・製造国・ロット番号 | 追跡管理に必須 |
| 保存期間・注意事項 | 保管温度・使用期限推奨 | 任意だが安全・信頼向上 |
欧州で人気のECOCERT認証と比較し、FDAは認証制度を設けていないため、認証ラベルよりも成分の安全性・ラベル表記の正確さが問われます。一方で、ヴィーガン、クルエルティフリー対応は米国消費者の購買動機で強く支持されており、多くのブランドが競合優位を築くために取り入れています。
実際、ヴィーガンフォーミュラの唇線筆は8色新品ラインで展開し、肌の透明感や多様な肌色に適応することで、米国内の女性の50%以上から購買興味を獲得したマーケティング調査もあります。
・第三者試験報告の準備:鉛や重金属の含有チェックをFDA基準(例えば、鉛は10ppm以下)でクリアしたテストを用意
・輸送中の温度管理:唇線筆の成分劣化を防ぐため、発送時はクールチェーン活用や適切な包装材を推奨
・プライベートラベル注意点:OEM/ODMの場合、相手先製造者同士のコンプライアンス整合、ラベル誤記防止が必須
Case 1: ラベルに「オーガニック」と誤記しFDAの警告処分を受けた中国ブランド
→「オーガニック」の表現は米国農務省(USDA)認証が必要でFDA管轄外。正確に表現し、認証を取得することが必須
Case 2: 成分申告ミスで輸入差止め。原因は不適切なINCI表記と未報告成分
→成分管理体制の強化と社内教育、第三者検査を導入し再発防止を図ったケースなど